東武鉄道野田線で子供を乗務員室に入れた運転士が懲戒免職

事件の経緯

10日、東武野田線南桜井駅で運転士の3歳の長男が入り込んで、隣の川間駅まで運転を続けた。
これをみた乗客が東武鉄道に通報して、事件が発覚した。

東武鉄道はこの運転士を懲戒免職とする

竹ノ塚の踏切事故からまだ1年も経っていない状況や、昨今の鉄道事故の多発などを鑑み、東武鉄道はその運転士を懲戒免職にした。
これに対し、東武鉄道に苦情が殺到した。

「やりすぎ」の感は否めないが

苦情の内容の殆どが、懲戒免職はやりすぎだという意見であるが、そもそも乗務員室は一般乗客の立ち入りを禁止している。
それが例え家族であっても、運転士や車掌などの係員でない以上、乗務員室には入れてはならないのである。
東武鉄道は最近は使ったことがないが、乗務員室の横に注意書きが書かれている。
これは他の鉄道会社では余り見られないものであるが、こういう注意書きがあるにもかかわらず、起こった「事故」である。
幸い、人身事故やダイヤの乱れに繋がる事故にはならなかったが、一歩間違えれば大事故にもなりかねない。
これを踏まえれば、懲戒免職は仕方ないと思う。

2005/11/14追記

鉄道営業法

鉄道営業法33条には以下の記述がある。

第33条 旅客左ノ所為ヲ為シタルトキハ30円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
1.列車運転中乗降シタルトキ
2.列車運転中車輛ノ側面ニ在ル車扉ヲ開キタルトキ
3.列車中旅客乗用ニ供セサル箇所ニ乗リタルトキ

昔に制定された法律なので、文語体で読みにくいが、乗客が乗務員室に立ち入るのは、この鉄道営業法33条の3項「列車中旅客乗用ニ供セサル箇所ニ乗リタルトキ」つまり、列車内において一般乗客が立ち入ることが出来ないところに乗ったら、「30円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス」つまり処罰されるというものである。
要するに、例え運転士の家族の者であろうと、乗客として乗車している以上、一般乗客が立ち入ることの出来ない箇所(乗務員室など)に入れたら、処罰の対象となるというものである。
尚、その運転士の懲戒免職は東武鉄道の内部規則に準じたものである。

コンプライアンスは企業社会の常識

鉄道事業者に限らず、世間では「コンプライアンス*1」がよく言われている。
その多くが、個人情報等の取り扱いに関わるものであるが、鉄道営業法もまた法律である。
法に抵触する行為は例え、「情け」みたいなものがあっても、許されるものではない。
東武鉄道に抗議した人の抗議文が何処かのブログに掲載されていたが、子供に自分の勇姿を見せてやっても良いじゃないかというような内容だったという。
だからといって、法律を破って良いというものではない。
寧ろ、法律を守る姿こそが、子供に見せるべき大人の姿ではなかろうか。

*1:遵法精神