事業報告書が来ました
タカラの企画力とトミーのマネージメント力の融合を強調
まず最初に目に付くのが、タカラの開発・企画力とトミーの管理力との融合です。
タカラが乗用チョロQの売れ行き悪さで赤字となっていたように、タカラの創業者一族の出身である佐藤慶太氏*1は企画力に優れる一方、経営手腕については疑問視されていました*2。
一方のトミーは安定したブランド戦略で、タカラのような大胆不敵なやり方を得意とはしていません。
そういうことを考えると、攻守両面に強くなったといえそうだが、大胆不敵なタカラの社風と安定重視のトミーの社風がまともにぶつかり合って、却って身動きが取りにくくなる危険もあります。
今後は、大胆さと慎重さという二律背反をどうコントロールしていくかが課題だと思われます。
少子高齢化を視野に入れたターゲット層の拡大を目指す
昨今は、晩婚・非婚傾向が著しく、また、夫婦の理想的な子供の数が初めて2.5人を下回るという状況にあり、元来、子供だけをターゲットにしてきた、玩具メーカーとしては依然厳しい状況となっています。
ここ最近、1970〜80年代の玩具のリメイクもの*3が出てきていますが、これらは、今の子供達ではなく、当時の子供達*4をターゲットにしたものが殆どです。
当然、元来の子供向け商品もしっかりとするのでしょうけど、前述のような昔懐かしのリメイクものや或いは生活雑貨のような所にまで商品ラインナップを広げ、子供ばかりか大人さえも視野に入れた商品展開を考えています。
ただ、所謂「萌え」系などニッチ狙いの商品に関しては余り充実させない方が無難だと思います*5。
玩具産業が栄える国の4つの条件とは
最後の段落に、創業者*6の言葉が紹介されています。
玩具産業が栄える国の4つの条件ですが、
- 教育熱心な国であること
- 科学技術が発達している国であること
- 良い文化を持つ国であること
- 玩具産業を大切にする国であること
になります。
最後の4つ目以外は、ここ最近の小泉改革で随分と毀損され始めてきている感じがしています。
教育熱心な国でなくなりつつある問題
私は政治に強い関心を持っている人で、教育問題にはとりわけ強い関心があるのですが、「ゆとり教育」などで教育現場の荒廃は凄まじいもので、公立学校の自由化によって、東京23区の西側の区*7の住民は、公立の学校より、私立や国立の学校に進学させる親が多くなっているくらいです。
要は、日本は最早、教育熱心な国ではなくなりつつあるということに注意しなくてはいけません。
ここでも、「官から民へ」の改革の成果が出てきています*8。
科学技術が発達している国でなくなりつつある問題
また、科学技術が発達している国という条件も疑わしくなっています。
随分と前に、理系に限って「飛び級」が認められる制度が作られたりして、一見、科学技術を大切にしているようにも見えますが、現在の産業構造を見てみると、第2次産業*9より第3次産業*10の方が栄えていますし、第3次産業でも高水準の「科学技術」を持つ会社より、人材派遣のような会社の方がよっぽど栄えています。
フリーターの増加も「科学技術」の発達においては阻害要因となっている危険性もあります。
日本の科学技術の発達は企業の正社員達が作り上げたものですから。
本質的に1人なフリーターでは、科学技術の水準を高くすることは難しいでしょう。
昔から、工学系の研究は複数人のチームでやるのが常識ですから。
数字的には
話が政治批判に逸れてしまいましたが、小泉改革が進行すると外資のHasbro*13すら市場の開拓のできなくなる国に落ちぶれることを憂いた訳ですが、連結財務諸表の数字は合併によるコスト増大のため、余り芳しくありません。
よって、株価もなかなか上がらず、私のカブドットコム証券の口座は投下資金を下回っています。
尤も、私のタカラトミー株購入はミニ株積み立てによる長期的な保有を目的にしたものなので、短期的な値動きを気にしてもしょうがないですが、逆に、今のような下げ相場にこそ長期保有目的なら、買うべきかと思っています。
密かに、ライバルのバンダイナムコホールディングス株の購入も検討していたのですが*14、こちらは上げ相場のようで、長期保有目的での購入は厳しそうです。