自民党は下野すべし
ここ最近、郵政民営化の集いが開かれたようだが、その集会にはたった18名しか参加しなかったという。
- 【町村派】 伊藤公介(9)、中川秀直(9)、小池百合子(5)、木村太郎(4)(以上衆院)、山本一太(3)(参院)
- 【津島派】 伊藤達也(5)、棚橋泰文(4)
- 【古賀派】 塩崎恭久(4)
- 【山崎派】 武部勤(7)、石原伸晃(6)、広津素子(1)
- 【無所属】 小泉純一郎(12)、水野賢一(4)、菅原一秀(2)、小野次郎(1)、片山さつき(1)、佐藤ゆかり(1)、藤田幹雄(1)(以上衆院)
1.佐藤ゆかり編
衆議院東京5区で長年自民党の代議士だった小杉隆が引退を決めた。
もう、年齢のこともあるので、夫人の借金のようなスキャンダルが出ずとも、いつ引退してもおかしくない状況である。
ただ、混乱の中での引退であるから、地元後援会は大混乱を来しており、まともに跡継ぎが決まらない状況だった。
そんな混乱を利用した自民党は、所謂「小泉チルドレン」の最右翼である佐藤ゆかりを岐阜から寄越したのである*1。
(1)穏やかさを破壊する佐藤ゆかり
私の実家のある目黒区は政治的にそう騒がれにくい穏やかなエリアである。
あの「9・11総選挙」の時ですら、いつもの面子*2で粛々と選挙が行われていたくらい穏やかなエリアである。
しかし、小杉隆の引退を受け、自民党が寄越したのは、喧しい佐藤ゆかりである。
当初、大塚拓*3が東京5区の後継となる筈だったが、マスコミ受けを狙う自民党としては、同じ「小泉チルドレン」でも、地元に近い大塚拓ではなく、インパクトの強い佐藤ゆかりを送り込む愚行に出たのである。
これには地元の反発も凄まじく、東京5区で53%もの不支持を得たのである。
東京の山の手エリアは下町エリアに比べて新しい住民が多く、近所付き合いも希薄なので、もっと支持されてもおかしくはなかったのだが、半数以上の有権者の反発は異例の事態である。
(2)ド派手なポスター貼付にドン引き
従来、東京5区エリアでは選挙ポスターの貼付が余り見られなかった。
やはり、世間では「高級住宅地」として知られているようなエリアなので、大衆迎合型の選挙活動はやりにくい。
この辺は、地元出身である小杉隆も手塚仁雄も心得ていた。
しかし、佐藤ゆかりは全く違う。今年に入った辺りから、目黒区内の至る場所に選挙ポスターをベタベタ貼りまくっている。
主に商店街のエリアを狙い撃ちしているのか、店舗の建物への貼付が目立つ。
しかも、選挙ポスターのデザインセンスが余り良くないので、極めて異様な光景である。
私は正月に、目黒不動に家族と共に初詣に行ったのだが、山手通りを歩いている間に目に飛び込んだ佐藤ゆかりのポスターを見ていると、佐藤ゆかりが「バラエティー生活笑百科」に出ている上沼恵美子のように見えた。
(3)選挙カーで駆けつけるなんてあり得ない!
衆議院東京5区を擁する目黒区・世田谷区エリアは駅前などの道路の幅員が狭く、また、駅前広場(ロータリー)を整備しているのは祐天寺駅と自由が丘駅の2ヶ所ぐらいのものである。
そのため、この地域で選挙演説をやるとなると、選挙カーで駆けつけるのは非常識も甚だしいということである。
仮に選挙カーがあったとしても、共産党のような小型の軽自動車がせいぜいである。
しかし、こともあろうに佐藤ゆかりは中目黒駅で選挙演説をやった際、山本一太の選挙カーで乗り込んできたという。
残念ながら、私は帰宅途中で、駅に上がった後にそのようなアナウンスを聞いたため、実物を見損ねてしまったのだが、恐らくはマイクロバスくらいの大きさのある一般的なイメージの選挙カーだと思われる*4。
大体、中目黒の駅前を通っている山手通りは片側2車線程度の幹線道路としては復員の少ない道路である。
しかも、その道路に客待ちのタクシーが駐車していたりしている訳だから、こんな場所に選挙カーで駆けつけるのは道路交通の妨害となり、非常識も甚だしい*5。
因みに、手塚仁雄は「NO選挙カー」という主義主張を持ち、常に選挙カーを用いずに駅頭で演説しているが、私から言わせると、「NO選挙カー」というポリシーは道路の狭い目黒区・世田谷区エリアの地理特性から導き出された合理的・実用主義的な理由に基づくものであると考える。
2.菅原一秀編
例の18人の一人だが、菅原一秀は所謂「小泉チルドレン」とは違う。
しかし、存在感の軽さは「小泉チルドレン」並で、練馬出身でありながら、地元の人気がない。
(1)本当に「今日も駅にいる」のか?
私は練馬で一人暮らしをしているが、ポスターの謳い文句の通り、駅頭で演説している所を見たことがない。
私から言わせると、前述の手塚仁雄の方がよっぽど駅頭に立っている*6。
普段使っているのが豊島園駅であるせいもあるが、それでも、今年9月までにはあるであろう総選挙の対立候補となる木内孝胤は大江戸線の豊島園駅で演説をしているのを見たことがある*7。
(2)悪運に恵まれただけ
ただ、そんな菅原一秀であるが、対立候補の実力不足などで命拾いをしている。
特に、「9・11総選挙」時など、東京9区は自民、民主、共産といういつもの3政党の他、社民党も候補者を立てていた状況でありながら、小泉旋風に乗っかって圧勝している。
更に、今度の総選挙で戦う相手である木内孝胤は外資系投資銀行で働いていたという今の平均的日本人とは凡そかけ離れた世界の人間である*8。
そういう意味においては、菅原一秀はやや有利だろう。
(3)黙っていても落選するような気がする
とはいえ、そんな悪運は続かないと思われる。
取り立ててド派手なスキャンダルも出てこなく、民主党候補も外資系金融機関出身とはいえ、有名人ではないので、マスコミを賑わすようなことにはならない。
しかし、「9・11総選挙」とは正反対の風が吹いている今、菅原一秀はピンチに立たされている。
東京の選挙区は一般的に風によって極端にぶれるという性質がある。
アメリカでは「小泉改革」を否定するような政策を次々と打ち出す、バラク・オバマが大統領となった*9。
当然、日本においてもバラク・オバマの影響を受け、それに近い政党―民主党の政権が樹立するということが目されている。
ましてや、今の自民党政権の乱れだけでも、国民は自民党を見限ることは容易に想像が付く。
この点を踏まえると、菅原一秀の当選の可能性は薄くなる。
佐藤ゆかりのような派手な知名度があるわけでもなく、自民党の看板は錆び付いている。
地盤も盤石とはいえないし、元サラリーマンだといっても、商社勤めだからある意味外資系金融機関勤務に近い。
この状態なら、民主党の対立候補が例え、「9・11総選挙」のときの川島智太郎だったとしても、苦戦乃至は落選は免れないだろう。