契約の意味を分かっているのか?

未知との遭遇

最近、「イマジン」なる生命体と遭遇しました。
何でも「お前の望みを言え。お前が払う代償はたった一つ。」などとおどろおどろしく言うものだから、気味悪く思いながらも、何故か私は恐れることもなく、「じゃあ、司法試験に受からせてくれ」と言ったところ、途端に実体化しました。
何故か鶏*1みたいな化け物になったのですが、本当に司法試験に受からせてくれるのでしょうか?

請負契約だから「イマジン」は私の願いを叶える義務が生ずる

思うに、「イマジン」の契約って請負契約*2ではないだろうか。
請負とは当事者の一方(請負人)*3がある仕事*4を完成することを約し、相手方(注文者)*5がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約する契約である。
仕事の結果については有形無形問わずだから、本件のように「司法試験に受からせる」というようなものでも請負契約は成立する*6
請負の要件は仕事の完成、仕事の完成に関して報酬が定められていること、仕事の完成と報酬について合意のあることの3つである。
これを本件に当てはめると、1つ目の「仕事の完成」なら、例の「イマジン」が私を司法試験に受からせるということがそれに該当し、2つ目の「仕事の完成に関して報酬が定められている」ことについては、「イマジン」が私の「過去」を報酬として求めているということである。
また、3つ目の仕事の完成と報酬についての合意についてだが、若干強迫*7めいているものの、強迫を理由にした取消の意思表示がなされていなければ契約は依然有効なままだから、これも合意があると解することができる。
よって、本件は有効な請負契約であり、「イマジン」は私を司法試験に受からせる義務がある。

大丈夫なのか?

ところで、あの「イマジン」とかいう奴がどうやって私を司法試験に合格させるのか見物です。
聞くところによると、「イマジン」は極端で強引な手を使うらしいとか。
全ての司法試験受験生を殺すなどというようなやり方は歓迎しません。
そういう場合、私は強迫を理由に取り消しをするつもりです。

*1:多分「ブレーメンの音楽隊」に登場する動物だと思われる

*2:民法第632条

*3:本件なら「イマジン」

*4:本件なら司法試験に受からせること

*5:本件なら私

*6:因みに、請負は有償・双務・諾成契約

*7:民法第96条