日本人の質が悪くなっているのは国難だ

伊藤真流護憲論VS自民党憲法

私は今、伊藤塾で法律の勉強をしているのだが、伊藤塾長は日本国憲法が甚くお気に入りである。
その根拠が第13条の個人的人権の尊重にあるという*1
個人的人権の尊重は大いに結構だし、私も改憲派であるが、13条の条文は変えるべきではないと考えている。
しかし、自民党改憲案は個人的人権を否定はしないが、その前提において、公益を優先するという考えがある。
このせいで、伊藤塾長は殆ど左翼的な護憲論者に成り下がってしまっている*2
伊藤塾には司法試験の勉強に来ているので、思想教育は勘弁して欲しいが、まあ、他人の言論を変な意味で真に受けず、自ら考える力を身に付ける方が論文試験等の対策にもなるから、思想教育的な所は聞き流し、只管基礎知識を身に付けることに努めたい。

個人主義教育が日本人の質を下げた?

憲法の話はともかく、ここ最近、信じられないような凶悪犯罪が頻発している。
具体例は枚挙に暇がないが、「動機なき殺人」などと呼ばれる殺人事件などがそれである*3
こうした信じられないような凶悪犯罪が増えた背景には教育の荒廃が挙げられている。
いじめとかの問題はもう20年も前から提起されているが、誰一人そのいじめの問題を解決に向かわせることができていないのが実感である*4
また、いじめだけではなく、学級崩壊とかも起こっており、最早、学校が機能できなくなっている状況である。
こうした低質化した教育を受ければ当然の如く、社会に出ても常識を弁えないような人間が多く出てきてしまう*5
つまり、教育の崩壊は社会の崩壊に繋がるというのである。
こうした原因は色々あるのだが、このような状況を作り出したのは、個人主義教育にあるとして、今の愛国主義的世論に押される形で、自民党個人主義から公益を重視した憲法なり教育基本法なりに改正しようと考えているのである。

教育現場で無視された教育基本法の趣旨

現行の教育基本法の趣旨は個性の尊重にあるのだが、この趣旨がきっちり守れていたのなら、いじめの問題は絶対に起こらないといっても過言ではない。
しかし、現状はその逆である。
いじめとはそもそも、異種排斥の感情の表れと考えている。
つまり、他から浮いているものを憎悪するためにその相手の個性を否定し、排斥を試みる行為である。
日本人は凡そ、他と同じであることに安心感を見出す傾向があり、そもそも個人主義という考えが肌に合わないのである*6
しかし、敗戦直後の占領政策等で個人主義の考えを中途半端に取り込んだのだから、自分勝手な方向に曲解し、社会主義的或いは共産主義的な思考を持つ連中が自らの持つ思想の正当化のためだけに個人主義を導入し、それを他人に押し付けるような教育を行うようになったのである*7
要するに、日教組の左翼思想的教育が教育基本法の趣旨を結果的に無視し、いじめを助長させたと言える。
福岡の教師は苺に例えたようなランク付けとかをして問題になったが、平等を謳っている社会/共産主義国ほど何らかの形でランク付けしたり、自分たちの思想に反する連中の個性は疎か人権すら否定するのだから、世話がない。
それと、あの教師だけに責任を被せるのは如何にも社会/共産主義国の粛清を想起させる*8

公益と個人主義は両立可能

自民党案は個人主義を否定しているということもあり、納得がいかないが、公益*9個人主義というのは果たして対立関係にあるのだろうか?
私は違うと思っている。
私は個人主義の敵は個人主義であり、公益はそれを調整する役割にあると考えている。
つまり、個人主義と公益の関係はボクシングの選手とレフリーの関係にあると考えている。
そういうことだから、変に公益に重きを置かれるとルールが厳しくなり、どこか全体主義的になったりしかねない。
尤も、日本人は個性より集団の空気に馴染む方を選びたがる習性があるから、一匹狼になるようなタイプ*10は嫌われるし、少数者として排斥されてしまう。
こうした少数者を多数の圧政から守るためにも個人主義の尊重は必要なのである。
決して、個人主義は自分勝手の正当化のためではないし、公益に反するものではない。

愛国心について

最後に付け足しとなるが、所謂愛国心ということが昨今話題になっている。
中国人や韓国人の愛国心の強さは定評があるが、日本でも彼らに対抗する意味合いを込めて愛国心を訴える連中が勢力を増している。
私も、愛国心ある人達は日本の国旗や国歌を否定するような自称国際人に比べれば愛国主義者はまともだと思っているが、これが先鋭化し過ぎると国粋主義或いは民族主義に陥りかねない*11
とはいえ、今の時期は近隣諸国の圧力と国際協調の本当の意味が分からずに国際主義を訴えているような左翼思想からの反動が、国民を愛国主義に走らせていると解釈している。
そういう訳で、戦後の日教組流「個人主義」教育で、日本人の潜在意識下において刷り込まれた「反日思想」が今の無気力な社会を生み出し、日本人の質の低下を招いている。
国際協調も大事だが、今の国際社会において、没個性的な国際協調は寧ろ軋轢の原因である。
戦後教育が敗戦のショックから未だに立ち直っていないのが大きな問題だが、この敗戦のトラウマを引き摺ったような教育を是正しない限り、日本人の質の向上は期待できない。
つまり、健全な愛国心の涵養は寧ろ国際協調に資するし、自信の回復は人間の質の向上に繋がるものと考えた方が良い。
しかし、在日韓国/朝鮮人などに対する差別を正当化させるような国粋/民族主義的思想に走らないように注意しなくてはいけない。
民族浄化思想に染まらない健全な愛国心こそが日本を救うと、私は考える。

*1:9条の平和主義より、こちらが憲法の本質であるという

*2:ちゃんと法律のことを知っている分、社民党等に比べてまだ頭が良いが

*3:尤も、私は本当に動機のない犯罪は存在しないと考えている。つまり、「動機なき殺人」は他人に言葉で表現できないような動機のある殺人と考えている

*4:特に、福岡県の中学生の自殺の事件は記憶に新しいところである

*5:サービス業で特に日本人の質の低下が見られる。おちまさと氏のBlogを参照

*6:そういう意味において、自民党改憲案及び教育基本法改正案は理に適っている

*7:思想の押し付けの段階で、最早個人主義ではないのだが

*8:こんなことをしておきながら、大企業や役所で不祥事あった際に特定の誰かに責任を被せることを「蜥蜴の尻尾切り」と揶揄する資格が一体誰にあるというのだろうか?

*9:ここでは公共の福祉とほぼ同義

*10:まあ、私もこのタイプだが(苦笑)

*11:在日朝鮮人に対する否定的な言論は国粋主義或いは民族主義の表れである。尤も、敗戦直後、戦勝国民と称して好き勝手暴れまわった在日朝鮮人等の問題もあり、嫌韓感情は案外根が深いのかもしれないが