芸人と道徳・倫理

RSSリーダーで気になる記事を発見した

大して読まないようなBlogを山のようにストックしている、私のRSSリーダーであるが、先日、気になる記事を見つけたのでコメントしておく。

バラエティ番組はなるべくして低俗になったに過ぎない

よく、バラエティ番組はいじめとかの原因だとか、教育熱心というか世話焼きの親御さんから目の敵にされている話しよく聞く。
そもそも、芸人という「低俗さ」を生業としている人達が出演しているこの手の番組は、放っておくと俗悪になるのは宿命的である。
それを低俗であってはならないと言うのは、小説家に筆を折れと言っているようなものである。

生真面目でプライドの高い奴は道徳・倫理を翳して芸人を消毒しようと試みる

勿論、芸人の出る番組全てが俗悪である訳がないが、他人を嘲るような、或いは罵るような芸人のやりとりは、何処か毒のある笑いを含んでいる。
私は、余りバラエティ番組を見ない上、芸人の低俗な振る舞いは所詮はフィクションなりジョークだと思って気にも留めないが、生真面目でプライド*1の高い人種*2にとっては、芸人のそうした低俗な振る舞いを許せないようである。
それ故、気位の高い人種は、道徳やら倫理やらで芸人を「消毒」しようとする。
これこそ、如何にもファシズム的である。

Noblesse Oblige」を知るべき

芸人はその職業柄、低俗であるのは宿命として受け入れなくてはいけないが*3、問題は、その宿命的に低俗な存在を社会悪のように扱う気位の高い人種である。
気位が高く、低俗なるものを激しく憎悪する、道徳主義者達は、如何にも高貴であると己を認知しているような節があるが、低俗なものを排除するその態度こそが低俗であることを知るべきである。
要は、高貴であるのなら、徹頭徹尾高貴であれということである。

高貴さのない道徳主義者の排他感情こそがいじめそのものである

芸人達のTVでの低俗な振る舞いが、いじめの根本だと見る見方は、如何にも表層的である。
寧ろ、その芸人達を低俗さだけで粛清しようとする態度こそが、いじめそのものである。
いじめっ子の行動パターンは、己の正義感に基づいて、敵対分子(=いじめられっ子)を徹底的に粛清する独裁者の振るまいそのものである。
芸人やバラエティ番組を叩いている、気位の高い道徳主義者の行動もまた、己の正義感に基づいて、敵対分子を徹底的に粛清する独裁者の振るまいそのものでしかない。
つまり、いじめの原因は芸人の低俗な振る舞いではなく、それを叩く「大人」の中にあるのである。

*1:プライドというより気位だが

*2:実は、私も生真面目でプライドが高いのだが(笑)

*3:低俗に徹することのできない芸人は、絵を描かない漫画家のようなものである