結果予想 目黒区&練馬区

1.始めに

いよいよ、7月3日に都議選が告示され、早くも7月4日から期限前投票が行われる*1
今回の都議選は今年任期を迎える衆議院選挙と同じ年に行われることなどから、過去の都議選に比べて注目度が高い。
また、さいたま市長選、千葉市長選、静岡県知事選に続く、今後の国政を占う選挙として、マスメディアからの注目も高い。
このこともあり、MSN産経などでは大々的な特集が組まれていたりしている。
前回に比べると遥かに注目度が高いのであるが、立候補者数が過去最低の214人で定員127人に対する倍率が1.69倍と低いので、幾つかの選挙区では無風が見込まれる。
特に、前回の都議選で民主党の候補者が当選している選挙区で複数の民主党公認乃至は推薦の候補者が立候補していないような選挙区がそれに該当する。

2.目黒区の場合

まずは、目黒区から。

(1)過去のデータ

2005年(平成17年)の結果

伊藤 ゆう 民主党 23809
東野 秀平 公明党 22749
鈴木 隆道 自由民主党 19532
  宮本 栄 日本共産党 11876
  やだ 慶來 無所属 3039
  谷 智彦 無所属 1478

2001年(平成13年)の結果

小山 としお 自由民主党 31557
東野 秀平 公明党 22120
青木 英二 民主党 19334
  野村 友子 日本共産党 14869
  栗山 よしじ 無所属 6605
  安久 ミヨコ 無所属 5231

1997年(平成9年)の結果

東野 秀平 公明 23508
小山 としお 自由民主党 19896
野村 友子 日本共産党 16410
  青木 英二 民主党 15092
  大久保 青志 市民の声・東京 3598
  鈴木 のり子 女性党 1654
(2)当落予想

2009年(平成21年)の立候補者及び当落予想 ※得票数は概数

伊藤 ゆう 民主党 30000
斉藤 泰宏 公明党 20000
鈴木 隆道 自由民主党 19000
  沢井 正代 共産党 10000

目黒区は石原都政への批判が弱いものの、自民・公明への支持も弱い。
また、ここ最近は民主党に対する期待も強く、順当に行けば前回同様の得票率になると見ている。
したがって、前回同様、民主党伊藤悠氏がトップ当選を果たすと予想される。
単純な当落では、自民党公明党も仲良く当選する形となるが、ここで注目するべきは得票率である。
というのも、目黒区の都議選候補者は総選挙候補者と直接リンクしており、伊藤悠氏は手塚仁雄氏の子分筋で、一方の鈴木隆道氏は佐藤ゆかり女史と手を組んでいる。
このことから、当落よりも得票率の面において、今回の都議選は総選挙の前哨戦と見ても問題ないであろう。
因みに、上記予想の場合、総選挙の小選挙区(東京5区)においては、手塚仁雄氏が当選するということになる。
余談だが、「鈴木隆道」でググってみたら、一番上に本人のサイトやWikipediaではなく、「2005年都議会議員選挙で、落選させたい候補者リスト」なるものが出ており、「特養ホームの施設建設で賄賂を700万円受け取った」というようなことが書かれていた。
この件がどうなったかは不明だが、これが明るみに出てくると、ややもすれば、鈴木隆道氏が落選するという可能性もある*2

(3)仮に幸福実現党が候補者を立てたなら

品川区、杉並区、江戸川区、足立区において、幸福実現党が駆け込み的に公認候補者を送り込んだ。
幸福実現党としては総選挙こそが本命なので、300近い候補者を揃えた今、余裕が出たのか、都議選にも候補者を出してきた。
前置きが長くなったが、もう選挙の告示が近いので、こうなる可能性は低いのだが、仮に、目黒区で幸福実現党が候補者を立てた場合、どうなるかを少し予測してみると、こうなる。
幸福実現党公認候補者がいる場合の当落予想 ※得票数は概数

伊藤 ゆう 民主党 29000
斉藤 泰宏 公明党 20000
鈴木 隆道 自由民主党 10000
沢井 正代 共産党 10000
  幸福実現党 10000

流石に当選は無理だが、自民党鈴木隆道氏の得票が大幅に減少し、民主党伊藤悠氏の得票も微妙に減少する。
公明党共産党には影響を与えないものの、この影響で共産党沢井正代女史が当選する可能性がある。
尤も、このシナリオは現実的にあり得ないので、無意味だが、追加で候補者を出さないという保証もないので、敢えて考証してみた。

3.練馬区の場合

続いて、練馬区

(1)過去のデータ

2005年(平成17年)の結果

石川 よしあき 公明党 52776
野上 ゆきえ 民主党 36997
高橋 かずみ 自由民主党 31225
松村 友昭 日本共産党 30927
やまか あけみ 自由民主党 27642.55
山口 文江 東京・生活者ネットワーク 25765
  野沢 あきら 民主党 21175
  土屋 としひろ オンブズマン練馬 19010.45

2001年(平成13年)の結果

高橋 かずみ 自由民主党 46152
石川 よしあき 公明党 45996
松村 友昭 日本共産党 31435
やまか あけみ 自由民主党 30895
林 ともじ 民主党 30022
山口 文江 生活者ネット 24027
  和田 まほ 無所属 20935
  丸茂 ゆきこ 自由党 16201
  横田 ゆずる 社会民主党 12062
  山田 かずよし 無所属 5105
  野崎 たかお 無所属 2572

1997年(平成9年)の結果

石川 よしあき 公明 42008
松村 友昭 日本共産党 37616
おくや 則男 自由民主党 28216
すがわら 一秀 自由民主党 25358
林 ともじ 民主党 20504
  中山 みきお 無所属 15642
  中村 えい子 東京・生活者ネットワーク 12498
  佐々木 ひろゆき 社会民主党 12133
  ごとう 栄子 無所属 2207
  高橋 洋子 女性党 2045
  中武 けんしん 青年自由党 1655
  古木 たけひこ ネクス 1561
(2)当落予想

2009年(平成21年)の立候補者及び当落予想 ※得票数は概数

小林 けんじ 公明党 48000
野上 ゆきえ 民主党 40000
松村 友昭 日本共産党 30000
高橋 かずみ 自由民主党 27000
やまか あけみ 自由民主党 27000
中谷 ゆうじ 民主党 27000
  あさの 克彦 民主党 25000
  中井 八千代 東京・生活者ネットワーク 10000
  藤野 かつひこ 市民ネリマ行革110番 9000
  中川 直人 社会民主党 5000

練馬は組織票の堅い候補者ほど有利な所がある。
過去の選挙結果を鑑み、公明党がまたもやトップ当選となる。
ただし、今回は石川芳明氏から小林健二氏にバトンタッチした。
今回、民主党は党勢拡大のため、練馬区にて現職を含む3人の公認候補者を擁立した。
まずは、現職の野上幸絵女史で、前回同様2位に入り込むと予想される。
現職としてのアドバンテージもさることながら、石原都政に対して批判的であることから、反石原票を集めやすいと思われる。
残り2人は共に新人で、何れもサラリーマン経験があって、政治家秘書を務めていたという人物である。
1人は中谷祐二氏で、参議院議員小川敏夫氏からのサポートを受けており、見た目からして実務派である。
この手の候補者は最近少ないような感じなので、得票を伸ばすことが予想される。
もう1人は浅野克彦氏で、今回の練馬区の候補者の中では一番若い*3
ただ、30代の候補者は、前述の小林健二氏や同じ民主党の野上幸絵女史もいるので、若さだけでは存在感がない。
因みに、浅野克彦氏は元衆議院議員吉田公一氏が付いている。
ただ、吉田公一氏は衆議院議員を辞めてから政界への影響力が衰えており、今一心許ない。
一方の自民党は、新人候補を送り込まず、現職2人のみという形で守勢に入っている。
まず、高橋和実氏であるが、オリンピック誘致に最も積極的な候補者で、バリバリの石原シンパである。
練馬の商店街関係から多く得票しそうで、組織票面では後述の山加朱美女史に比べると固い。
ただし、石原都政に満足している層は多くないため、無党派層の取り込みは苦労しそうである。
余談だが、中野区の自民党候補者に似たような名前の高橋一実氏というのがいるが、こちらの下の名前の読みは「かずちか」である。
続いて、山加朱美女史であるが、開発系の政策を掲げる前述の高橋和実氏とは趣も異なり、福祉系の政策を掲げており、役割分担がなされている。
前回都議選では、安倍晋三氏からの応援演説があったので、意外と中央政界とのパイプがありそうだが、本質的に無党派層が支持基盤のような感じなので、民主党の野上幸絵女史、中谷祐二氏そして、浅野克彦氏の支持が強くなると落選の危険性がある。
なお、山加朱美女史は石原慎太郎都知事との2ショットポスターがあるように、前述の高橋和実氏同様、石原都政の積極的賛同者である可能性が高く、石原慎太郎都知事の応援演説も期待できる*4
ただ、そうなった場合、石原都政に少しでも批判な無党派層の票は民主党の野上幸絵女史か浅野克彦氏に逃げるということも考えられる*5
練馬区は6議席に対して10人の候補者が立つという、今回の都議選としては激戦区の1つに数えられているが、そんな激戦区の中において、現職の壁を壊す程の風は吹かないだろうと予想している。
よって、ネットの中井八千代女史以下は評するほどではない。

(3)民主党が大躍進(又は自民党が大凋落)した場合

民主党が大躍進した場合の当落予想 ※得票数は概数

小林 けんじ 公明党 48000
野上 ゆきえ 民主党 43000
松村 友昭 日本共産党 31000
中谷 ゆうじ 民主党 28000
あさの 克彦 民主党 28000
高橋 かずみ 自由民主党 19000
やまか あけみ 自由民主党 19000
中井 八千代 東京・生活者ネットワーク 19000
  藤野 かつひこ 市民ネリマ行革110番 9000
  中川 直人 社会民主党 5000

前述の目黒区では幸福実現党が候補者を送り込んできた場合の予想をしてみたが、練馬区でそれをやったとしても、大勢が変わるようなことにはならなさそうなので、ここでは別の予想をしてみる。
ここでは、民主党が大躍進(又は自民党が大凋落)した場合の予想である。
同じシナリオで目黒区の予想は精々、伊藤悠氏の得票が増えるだけということであるが、練馬区の場合、公認候補者3名が全員当選するという鳩山由紀夫氏や小沢一郎氏が大喜びしそうな結果になる。
まず、自民党高橋和実氏であるが、如何に商店街系の組織票が固いとはいえ、商店街関係者の中には民主党の中谷祐二氏や共産党の松村友昭氏に票が逃げる可能性がある。
特に、2016年東京オリンピック誘致が絶望的だとなると、一番得票を減らしそうなのが、この高橋和実氏である。
次に、自民党の山加朱美女史であるが、こちらはベースが無党派層に近いので、民主党の野上幸絵女史や浅野克彦氏に票を取られる可能性が強い。
また、福祉政策を得意としているため、やや左巻き無党派層の一部はネットの中井八千代女史に流れる可能性もある。
こうなると、浅野克彦氏も当選が見込まれ、最下位の議席自民党高橋和実氏か山加朱美女史かネットの中井八千代女史のいずれかになると予想される。
つまり、自民党の共倒れも考えられるということである。

3.最後に

私は東京の内、目黒と練馬ならどうにか予想も出来るが、他の所の情勢は全く分からない。
特に、8議席を11人で争うという大田区に至っては見当も付かない情勢である。
なので、都議選予想については今回のみとなる。
因みに、他で若干分かる所について触れると、世田谷区の場合、民主党花輪智史氏が東京6区エリア北部、山口拓氏が東京6区エリア南部、関口太一*6は東京5区エリアと地域分担をしているようである。
ただ、これが吉と出るか凶と出るかは不明である。
結果はどうなるか分からないが、今回の都議選の場合、大田区のような超激戦区でもない限り、単純な当落だけでは、総選挙の行く末を占うものにならない。
つまり、当落ではなく、各候補者の得票率を見ることが、総選挙の結果を占うことになるだろう。
特に、目黒区のように総選挙の候補者と都議選の候補者がリンクしている場合、有効な指標となる。
ただ、練馬区みたいな中途半端な激戦区だと得票率からも総選挙の結果が見えにくい。
因みに、東京9区の候補者と都議選候補者との関係であるが、自民党菅原一秀氏は山加朱美女史と、民主党木内孝胤氏は中谷祐二氏と繋がりがあるようである。

*1:投票日は7月12日

*2:尤も、その可能性は低いが。

*3:34歳

*4:麻生太郎内閣総理大臣の応援演説は都議選候補者の自民党議員には不評だが、石原慎太郎都知事の応援演説は歓迎する向きがあるようだ。

*5:ただし、山加朱美女史向けの無党派層は中谷祐二氏には向かない可能性がある。

*6:何故か公認候補ではないが。