法テラスと裁判員制度

法テラスとは

今、司法改革が行われているが、ロースクール*1の設置、裁判員制度の他、法テラスというものが作られたのは前者2つに比べて知られていないようである。
法テラスが何をやる所かというと、

  • 情報提供
  • 民事法律扶助*2
  • 司法過疎対策
  • 犯罪被害者支援
  • 国選弁護関連業務

ということを行うのである。
詳細は各弁護士会等のページを見て下さい。
何れにしても、法の支配の体制を採る日本において、国民と司法との距離を縮め、より多くの国民に法について理解と親しみを得る趣旨で設置されたもののようである。

法テラス訪問

以前、当Blogでも取り上げたことのある、大宮法科大学院大学に通いながら学習塾を経営し、辰已法律研究所の講師を務める米谷達也氏のBlogにて、法テラスの見学に行ったことの記事が掲載されている。
恐らく、ロースクールの授業の一環で見学に行ったものと思われる。
米谷氏は所感の中で、

新制度の運用に反対したり,協力を拒否する勢力もあるようです。いかなる改革であれ,現状が変わって欲しくないというインセンティブを持つ人々は,必ず存在するということでしょう。

と述べている。
つい最近、裁判員制度の記事を書いたのだが*3、私の場合、裁判員制度を通して、上記引用のようなことを感じた。
以前の裁判員制度の記事でコメントを寄せた反体制的な人も、畢竟、改革に反対する抵抗勢力の一員なのであろう。

裁判員制度についての追記

以前紹介した以外の反対論者のBlogにて、違憲の疑いのあるという意見が書かれていた*4
伊藤塾の基礎マスター憲法の中でも憲法76条1項と第32条に抵触するという理由で裁判員制度*5違憲とする学説が若干紹介されていた。
しかし、今日の通説は、裁判官が陪審の答申に拘束されず、被告人に陪審を辞する自由を認める限り、裁判員制度を設けることが出来るというものである。
理由は

  • 現実に検察官や弁護士が裁判で重要な役割を果たしていることから、裁判官が結論を下す限り、陪審員が訴訟手続きに参与しても第76条1項には反しない。
  • 裁判官が陪審の答申に拘束されないのであれば、裁判官の職権上の独立は害されず、第76項3項には反しない。
  • 被告人に陪審を辞する自由を認めるならば、被告人の裁判を受ける権利も害されず、第32条にも反しない。

ということである。
これ以外にも、裁判員の事実認定の適正を確保するため裁判官が一定の役割を果たすようになるなどの条件があれば、評決に拘束力のある裁判員制度を設けることが出来るとか、憲法学者浦部法穂氏の学説として、アメリカのように陪審の評議に強い拘束力を与える制度を認めることができるという学説も若干紹介された。
人権を規定した条文*6に関する問題についてはWikiPediaにて裁判員制度の項目があるのでそちらを見て戴きたい。
普段、辛辣な口調で政治批判しているような連中が人を裁くのを「意に反した苦役」とは如何なる了見からなのだろうか?
結局のところ、反対論者は「面倒なことは他人に丸投げしたい」という既得権益を守りたいだけなのだろう*7
これが、私をして裁判員制度反対論に対して異を唱えさせているのだろう。

*1:法科大学院

*2:従来弁護士会に併設されていた法律扶助協会が行っていた業務を引き継ぐ

*3:11月19日の記事参照

*4:こちらのBlog参照

*5:或いは陪審制・参審制。以下同じ

*6:第18条など

*7:確かに、「面倒なこと」は「苦役」に他ならない