船田改憲案を概ね支持します
+ + + 船田はじめの F - P r o j e c t N e t + + + ■政策提言/日本国憲法の見直しに関する私の所見■
安倍政権では憲法改正が主要政策課題として取り上げられているが、私の改憲案は船田元氏のそれに近い。
安倍政権の中枢に近い世耕弘成氏の政策に掲載されていることを実現するような案*1もあるのだが、こちらは余りに急進的で受け入れがたい。
第2章について
前文と第1章については特に今のままでの差し支えないと考えている。
まずは、第2章で特に国民的関心の高い憲法9条*2であるが、これが成立した経緯を鑑みるに、日本がアメリカの軍隊を駐留させることが前提となっている。
そのための戦力不保持の条文であり、決して、非武装平和主義や一国平和主義と解されるものではない。
要するに、自前の軍隊は持たず、米軍によって日本を守るということが大前提になっているのである。
しかし、アメリカはこのような条文を設定しておきながら、後に掌を返したように日本も自前の軍隊を持てと当時の吉田内閣に要請したのだから、アメリカの二枚舌には辟易される。
それはさておき、今や、日本は独自の軍事力を持って、極東地域の平和を守る立場を求められている。
これを考えると、戦力不保持の項目は凡そ今の国際社会の要請に応えるものではなく、逆に「やらない言い訳」の根拠と成り下がっている。
例えば、みんなでサッカーをやろうと呼びかけられチームを組むのだが、私は運動が苦手だから参加しないと言っているのと同じ状態になってしまっている。
こんな風に、呼びかけに対して無碍に断るのでは、周りから嫌われる原因になるし、ややもすれば、いじめられる原因にもなる。
つまり、この戦力不保持の項目のせいで、呼びかけに応えず、自らドロップアウトし、その結果、周りからの信頼を失っているという状態になっている。
果たして、これで良いのだろうか?
これを総合すると、私は第2項のみを廃止し、別項を追加する船田案を支持する。
第3章について
船田案でも、「権利の行使は同時に義務の履行を伴うことを合わせて表現する」とあるが、これに関しては敢えて明文化する必要はないと思う。
寧ろ、教育の現場にてこのことをよく教え込む必要があり、法文に明記させるべき内容ではない。
また、環境権などの所謂「新しい権利」については従来通り13条の解釈で運用させることで間に合うし、今後もどんどん「新しい権利」が設定されると考えると新しい権利について敢えて明記させる必要はない。
この章に関しては、私は変更なしとする考えなので、船田案とも政府案(≒世耕案)とも異なる。
第4章について
ここで世耕案と船田案とで隔たりが目立っている。
それは一院制に変えるか二院制のままにするである。
選挙制度については、両者とも変えることを述べている。
尤も、具体的内容は公職選挙法で賄うべきなのだろうけど。
これに関しては未だ自分の意見がないが、基本的に現状の二院制で良いと考えているので、取り敢えず船田案を支持する。
第5章について
ここからは世耕氏のページでは明記されないので、船田案との対比となってしまう。
殆どの改憲論議が第9条に集中している影響で、意外と話題になっていない所であるが、ここも憲法改正において重要な項目となっている。
船田案では首相公選制を盛り込むことを述べている。
中には大統領制を導入せよという意見もあるが*3、私の場合、日本人の個で分かれるより集団で纏まりたいという民族性から、議院内閣制が理に適っていると考えている。
ただ、首相公選制を導入することが果たして、政治と国民との距離を実質的に近付けることに資するのか疑問である。
現状維持でも、首相公選制導入でも、そういう意味ではどっちみち大差ないと考えているので、私はこの章については現状維持でも良いのではと思っている。
尤も、首相公選正反対でもないが。
敢えて変えるのであれば、「内閣は国会に対して責任を負う」を「内閣は国民に対して責任を負う」に変えた方が良い。
今や、社会権のために行政権が肥大化する傾向にあるので*4、内閣が国会にではなく、国民に対して責任を負う形にした方が良い*5。
第6章について
最高裁判所裁判官の国民審査制度は現状維持で良いかと思っている。
昔は、裁判官の情報について、遍く知れ渡る可能性が少なかったが、今はネットが普及しているので、例えば2ちゃんねるなどで、情報を集めることができる*6。
これを考えると、寧ろ、今までの国民審査制度はこのような高度情報化時代を先取りしたものであり、今の時代こそ有効活用できる代物なので、現状維持の方が妥当であると考えている。
また、船田案では「憲法論議」と書かれているのが気になるが、恐らく違憲立法審査権を意味していると思われる。
この違憲立法審査権であるが、これも従来通りの運用で良いのではないのかと思っている*7。
尚、違憲立法審査権ではない憲法論議は裁判所で行うのではなく、寧ろ、立法府即ち国会で行うべき問題ではなかろうか。
という訳で、ここは船田案とは見解を異にしている。
第7章について
税制改革は憲法の世界ではなく租税法の世界なのだが、船田案の国民負担率をおおむね50%程度に保つべきことの明記は賛成。
後は、財政の使い道について、ある程度の規定を盛り込んだほうが良いと思う。
第8章について
在日外国人の参政権についてはネットを見ると根強い反対論が多いが、地方自治体の参政権に限っては承認した方が良いかもしれない。その点は、船田案と意見を一にしている。
しかし、船田氏は現状において「住民自治」に片寄り過ぎているというが、何を以て言っているのかよく分からない。
寧ろ、「団体自治」に偏っている気がするのだが…。
また、道州制導入を前提にしたものにするということも、船田案には盛り込まれているが、そもそも道州制を導入すると今の憲法において、どういう矛盾があるのか見えてこない。
これを考えると在日外国人の地方参政権以外は船田案に疑問が残る。
第9章について
船田案では、各議院の総議員の3分の2から2分の1にするなど、国会の憲法改正発議要件を緩和することにしているが、憲法改正がタブーであるという空気の存在が今の硬性憲法の保障を確固たるものにしているので、制度の緩和でどうにかなるものではない。
それを考えると、特に緩和させる必要性はないと思われる。
第10章について
憲法と国際法規である条約との立ち位置が不明確ということが出ているが、これは
の優先順位を明記させることで解決すると思われる*8。
そういう意味では、調整をするのではなく、上記の順序を明記する方が寧ろ良いと思う。